なぜ電子マネーは乱立したのか。『フェリカの真実』

 

「フェリカの真実」

ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由。

 

この本はとても面白い。失敗系の伝記は読んだほうがいい。

失敗系の伝記を読んだ方がいい理由は同じ過ちを繰り返さないためである。

成功の原因は無数にあるが、失敗の原因は法則がある。

 

 

 

◎フェリカとは 

 

駅の改札口でIC乗車券をタッチしたり、コンビニエンスストアで電子マネーを利用したり。いまや、あちこちで見られるかざす便利をつくりだしたのが、ソニーの非接触ICカード技術方式「FeliCa」です。非接触だから、かざすだけで高速データ送受信。さらに、データは何度も書き換えられ、カード本体を再利用できるエコロジーなシステム。厳重なセキュリティーも実現し、公共交通機関の乗車券システムから、電子マネー、マンションの鍵まで幅広い用途で使われています。これからも、Felicity(至福)に由来する名前どおり、「FeliCa」は世の中をもっと便利に楽しく変えていきます。※出所:ソニーのHP

 

◎フェリカの変遷(ざっくり)

 

フェリカは本書によると、

 

物流用のRFID

→入退室管理で販売するも電波干渉で撤退

→JR乗車券検討するが険しい道が続く

→ソニー大賀社長の「大切な技術を2年でやめるな」でなんとか延命

→香港で実装(オクトパスカード)

→国際規格化に失敗

→なぜかエディ立ち上げ、でも仕様でエンジニアが抵抗←電子マネー乱立の原因

→ソニー出井社長はJRよりドコモ重視←電子マネー乱立の原因

→ドコモとソニーの合弁会社「フェリカネットワークス」立ち上げ

 

という複雑な経緯で結局ソニーには大した利益をもたらさなかったようだ。

 

◎オクトパスカードについて

 

香港のオクトパスカードは、世界への非接触型ICカードの普及に大きな影響を与えることになった

そして、オクトパスカードは、日本で作られたFelica(フェリカ)方式のICカードを、世界で始めて実用化したのだ。

 

つまり、日本で最も利用されているFelica(フェリカ)方式は、日本で生まれて香港で実用化されて、その後に日本へ逆輸入されたものになる。

 

こうした香港のオクトパスカードの成功が、日本のFelica(フェリカ)方式を世界に広めることになった。

今回述べたように、Felica(フェリカ方式)のICカードは、日本で作られた後に香港で実用化されて、また日本に戻った。そのため、こうした香港のオクトパスカードについて知ることは、日本における電子マネーを学ぶために役立つことだといえる。

 

◎電子マネーの乱立について

 

電子マネーと言うからには、

現実の貨幣と同様どの店でも誰もが自由に使えなければおかしい。

あの店では使えるけどこの店では使えないではマネーとは到底言えない。

どうしてこんな事態を許すことになったのか。

 

同じ FeliCa のプラットフォームを使っている香港のオクトパスカードのケースと比べるとその違いはビジネスの導入の仕方にあることが分かる。

 

FeliCa の規格を採用した世界最初の非接触 IC カードは香港のオクトパスカードである。

運用会社のオクトパス社は非接触 IC カードの開発メーカーに対し採用にあたっての条件を提示したが、それはスペックに関するものではなかった。

 

オクトパス社が提供するサービス、例えば鉄道屋地下鉄などの交通機関が一枚のカードで利用できること、あるいは、決済に使う電子マネーも一種類であることなど、使い勝手に関するものであった。

 

有り体に言えば、このようなサービスを考えているのでそれ相応市非接触 IC カードが欲しいというものである。

サービス事業ビジネスモデルありきから始まったのがオクトパスカードなのである。

 

それに対し日本では物 FeliCa プラットフォームありきから始まっている。

オープンな FeliCa プラットフォームを使えば決済に便利な電子マネーカードを発行することができるので、それを自社のビジネスに役立てたいと考えた企業がそれぞれ独自の電子マネーを作ったというわけである。

まさに電子マネーの乱立は企業のエゴの産物なのである。

そしてそれを可能にしたのがソニーのオープンなプラットフォーム戦略だったというわけである。

 

◎読み間違えた戦略のつけ

 

電子マネーの乱立は、

まず「もの製品ありき」から始まるビジネスモデルの限界を象徴している。

 

日下部氏(Felica開発者)によれば FeliCa とは様々なサービスを入れる器に過ぎない。

その器を利用する際、決済のアプリである電子マネーだけは共通の基盤となるところにないと誰もサービスを提供しないのではないかと考えたという。

だから、電子マネーはどのサービス提供業者も使えるニュートラルなものでなければならなかった。

そのため日下部は共通領域を作りそこにエディを置くようにしたのである。

 

日下部氏の述懐。

「本来、共通領域に入る電子マネーは一つに絞るべきだったと思うんです。

 

だけども Edy ができて単独でビジネスを始めてしまいましたから、それを見て共通領域に電子マネーを乗せられるということが皆さんにわかってきたため各自(カード発行業者)が独自のブランド独自の方式で電子マネーをどんどん発行してしまったのです。

 

それで電子マネーが乱立したわけです。

エディは本来みんなサービス提供事業者が支えなければならなかったのですが単独になってしまったから支えようもなくなったんです 。

 

SONY でもグループ企業で協力していけば新しいビジネスが展開できたと思います。」

 

 

地頭力を鍛える~マンホールの蓋はなぜ丸いのか~

 
マンホールの蓋はなぜ丸いのでしょうか。
この問題は Microsoft の入社試験に出されたということで大変有名になっている問題です。
 
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
いくつかの本でもこの問題の解答が開設されています。
模範解答として次のような答えが挙げられています。
・四角いと穴がふたが穴に落ちてしまうから
・なぜなら正方形の対角線の長さルートにつまり1.14の長さがあるから
これは有名な問題なのでこの記事を読んでいる人の中には答えを知ってますよ、とばかりこれを唯一の正解と捉えてしまっていて、それでこの問題をクリアできたと勘違いしてしまう人がいるかもしれません。では他の答えを言えればいいのでしょうか。
 
穴に落ちてしまうから以外の他の模範的と呼ばれる回答例についてもあげてみましょう。次のようなものがあります。
 
・マンホールの蓋はマンホールの穴の形状に合わせて作られている。
・丸い穴は四角い穴より掘るのが簡単でありコストもかからない。
・マンホールの穴は周囲の地面の圧力を支えなくてはいけない。四角いものより円柱の方が圧力を分散できる
・工事の際にはなるべく人力で運んだり外したりする必要がある。そのためには車輪のように回転させながら移動することができる円形が有利だ。
 
これらの回答を全てさらさらと言えれば模範的と言えるでしょうか?
そもそもこの問題は典型的な答えのない問題です。
その問題の模範解答を覚え手応えがあると考えてしまう時点で思考が停止しています。
答えのない問題に対する誰かの答えを暗記してそれを使って答えてしまうという行為がナンセンスかをまずは理解して欲しいと思います。
答えのない問題の本質は何度も繰り返しますが問題に対してどれだけ自分の頭で考えることができるか。自分なりの分析をすることができるかという点です。
 
▼自分なりの分析とは
では自分なりの分析とは何をすることなのでしょうか?
上記の四つの答えは一見すると答えになっているように見えますが、
Microsoft の入社試験でその答えだけを出したとするとかなり怪しいです。
四角だと穴に落ちてしまうからという確かにそういう現象があるかもしれません。しかし、私はこの問題を議論するとしたらこういうツッコミをします。
四角だと穴に落ちてしまうからというのが非常に重要なファクターだとするなら、どうしてそのファクターが他のファクターに比べて重要なのか。
例えば圧力に耐えられるといったファクターと比べても穴の形を決める最も重要なファクターとなっているのか。
例えば自分なりの分析と言えるのは以下のようなアプローチでしょう。
「マンホールのユーザーとは一体誰か?ユーザーはマンホールの形状によって誰がどのようなベネフィットを得るのか?といった観点から分析して答える。」
そういう方向性で私の分析をしてみることにします。
 
▼比較対象を考える
丸い蓋の競合として四角い蓋を考えることにします。
四角い蓋は街中でたまに見かけることがあり、比較の対象としては良いでしょう。
三角の蓋もありえますが現実的に見かけたことがないため除外します。
考える対象は丸と四角とします。
▼ユーザーからバリューチェーンを考える
マンホールのユーザーは誰でしょうか。最初に考えられるのはこれらを直接使う人です。つまり、マンホールを開けたり閉じたり工事をしたりメンテナンスをするような業者です。次にマンホールを製造販売する会社があります。最後はマンホールが設置された街を使う第三者です。つまり、我々歩行者や車ということになります。
これらをつないでいくとバリューチェーンのようなものが出来上がります。つまり、マンホールに係るユーザーを川上から川下まで表すのです。
これを横軸としてみます。そこで、それぞれのプレイヤーがマンホールの蓋の形状を検討するとしたらどのような観点があるのか。その場合を出してこれを 縦軸にします。
例えば製造業者であれば製造コストが一番気になります。四角よりも丸の方が製造コストが安いのであればそちらの方が有利なはずです。工事業者ではどうでしょうか。とりあえず海の簡単さといった便利便性があげられそうです。いくつかの評価ポイントがありそうです
その1、作る側の観点から考える
まずはマンホール製造業者から見た観察です。製造側から最大の鑑定は生産個数です。生産コストは材料と加工に分けられます。変わるとすれば加工のところでしょうか。常識的には丸型の学校野球場の方が難しいように思います。さらに取扱を丸型だとピタリと重ね合わせることができませんから在庫として追加されたりトラックに積んで運んだりするときも四角い方が取り扱いが楽なように思います。
そこに置く際にも四角い方が隙間なく積むことができますし、がっちり固定もできそうで揺れません。作る側の観点を総合すると、特に理由がない限り丸よりも四角の方が有利だと推測されます。丸でないといけないという理由はひとつも見当たりませんでした
その2、第三者(利用者)の観点から考える
一つ飛ばして第三者(利用者)の観点から見ています。第三者の鑑定は安全性が大事でしょう。第三者から見たマンホールの安全性というのはその上を通行するときに用意に外れたりしないということと考えましょう。丸い方が圧力を分散するため上に車が通ったとしても外れにくいと考えられます。このトラックが走るような道路上ではクリティカルなさになります。
巨大なトラックが走る道路上でマンホールの蓋が外れれば大事故につながります。
一方、歩道上ではマンホールの蓋を跳ね上げることができる人はいません。構造上では四角でもあっても構いませんが、道路上にあるマンホールで問題になりえます。もし、蓋の形状によって外れやすさが大きく違うということであれば、他のファクターを差し置いて丸を選ぶクリティカルな理由になりそうです。これは検討に値します
その3、施工メンテナンスがから考える
最後は施工メンテナンス、つまり工事の観点から考えます。
コスト・利便性・安全性のファクターそれぞれについて検討します。
最初のコスト面でおそらく製造コストは丸型の方が高いと考えられ、直接の仕入れのコストを考えると丸型の優位性は低いと考えられます。
次は利便性です。施工面で言えば穴に合わせた穴を開ける必要があります。ドリルなので穴を開けるのですから丸型の方が開けやすいと言えます。
特に深い穴を開ける場合は丸型の穴が主流になるでしょう。むしろ穴が先にあってそこにいたの形を合わせている可能性もありますし、工業所からすると穴を掘るコスタ非常に高いと想定され工事費のほとんどを占めると考えられます。穴に合わせて蓋を作る方が合理的であると考えられます。
おそらく深い穴は丸いと想定されます穴がなかったところにドリルでくりぬくか、一方で浅い穴は、面積を掘り起こしてから上から蓋をするようなイメージです。浅いは四角い蓋がしてあることが多いと考えられます。
メンテナンス面ではどうでしょうか。ふたの開け閉めを考えます。丸い蓋は主に閉めるときにどの方向からも閉めることができて簡単です。
また転がして移動できるので力のない作業員でも簡単でしょう。また穴に落ちないため適当に開け閉めしても大丈夫そうです。いずれも丸が有利ですが、それほど決定的な要因ではなさそうです。
最後に安全性ですが丸い穴が落ちてこないと言えます。これも単体で見ると決定的な要因には思えません。ただし前述の深い穴と組み合わせると重要な要因であると考えられます
ここで仮説をまとめます。
蓋の形状を決めるのは最もコストのかかる穴の嗜好に合わせてである。マンホールは深く垂直に穴を掘るために丸い穴が多い。丸い蓋の方が価格が高くても、穴の施工に比べれば微々たるものである。
次に穴が深いとなると作業員の安全性が問われる。
深い穴の場合絶対に蓋が落ちてこないようにしないといけない。浅い穴の場合は、穴の形もまれではないし、安全性もさほど問われない。だからコストや運搬などの面で有利な四角い蓋を使う場合がむしろ多いのではないか?
大胆な推測ですが要するに「穴の深さが穴の形状を決めている」という仮説です。
 
直接検証できればいいのですがもっと良い方法があります。
自然科学の分野で仮説の検証を行うときに有効な方法として使われている、
判例を探すというものです。
この場合の判例は深い穴なのに四角の蓋が使われているケースです。
これが見つかるようであれば仮説は NG です。もしこれが全くが見当たらない場合はこの仮説は強力なものであると考えられます。
同じ思考法で蓋のはずれやすさの方も検討しましょう。
トラックが通るような道路上で外れないように丸い蓋を使うというのが仮に正しいとすれば、判例を探すとすると「トラックが通るような道路上なのに四角い蓋がある」ということです。
以上のような考察から私なりの結論を得ます。
マンホールの蓋が丸なのか四角なのかを決める理由としては、
主に次の二つが考えられます
一つ目や穴の深さ工事業者側の施工コストと安全確保
二つ目はマンホールが道路上にあるか否か公共の安全性ですこの二つが最も重要です他の例えば工事の際には人力で運んだり外したり必要があるそのためには車輪のように回転させながら移動することができる円形が有利なはずだといったものは付属的なベネフィットに過ぎずマンホールの形を決めている決定的な要因ではないものと考えられます。
 
以上で「マンホールの蓋はなぜ丸いのか」についての考えを述べました。
大切なことなのでもう一度書きますが、答えを暗記して答案することにあまり意味はありません。
なぜその答え、意思決定に至るのかを自分の頭で考えることが大切です。
その自分の頭で考えることの訓練として、フェルミ推定がとても勉強になるのです。
 
 

TOEIC学習者はスタディサプリENGLISHを絶対使用したほうがいい

 

スタディサプリはかなり良いサービスだ。

TOEIC学習者にとってTOEICで高得点をとることがまず目指すべきゴールであろう。

TOEICで高得点を取るために何が一番大切かと問われたら勉強の習慣を身に着けることが一番大切であると感じている。

そんなことは誰でもわかっていると思うが、ではどうしたらTOEICの勉強する習慣が身につくのであろうか。(アメリカのある大学の研究によると、私たちのふだんの行動の約45%は習慣で成り立っているという。

おそろくその習慣の身につけ方は人それぞれで、多くの人が習慣になる前に挫折してきたと感じている。

今回おススメする英語学習サービス『スタディサプリ』はTOEIC学習の習慣を高確率で身に着けることができるサービスであると感じている。

 

その習慣化につながる仕組みとしては、

ゲーミフィケーション②途切れさせたくないと思わせる仕組み③If~thenルール

が挙げられる。

 

ゲーミフィケーション

スタディサプリには講義と問題の動画ががあり、それぞれ受講が終わると金・銀・銅のステータスが受講状況によって付与される。(例えば、すべての問題が一問も間違いがなく全問正解なら金のステータス)

「問題を解く→ステータスの変更→さらなるステータスのアップ→まだステータスが与えられていない問題を解く」のサイクルがとても習慣化にとっては良いのである。

専門用語「ゲーミフィケーション」といい、マーケティングなどで顧客の行動をゲームを用いてコントロールすることをいう。習慣化するためにあなたはスタディサプリに行動を良い意味でコントロールしてもらう必要があるのだ。

 

②途切れさせたくないと思わせる仕組み

ここで重要なこと言う。

習慣を見つけるためには継続しようと思って行動するよりも、行動を途切れさせたくないと思って行動することがより習慣化につながるのだ。海外ではHabit chain(習慣の鎖)といい、習慣の鎖を切らさないように行動したほうが結果的に習慣化されているという。

そこでスタディサプリの機能の一つとして、「連続学習日数」というのが端末(PC、スマホ)のファーストビューに掲示されている。

これが習慣化につながる生命線だと感じている。あなたは一週間ほどこのサービスを使うと必ずこの「連続学習日数」を気にし始める。そして毎日このサービスを開き、途切れさせたくない思いで英語の勉強を始めるのだ。

 

③if~then ルール

そして最後にテクニックなのだが、If~thenルールというものがある。

if~thenルールの効用は大きすぎる。if○○したら、then○○する。

if○○したら=既に習慣になっていることを書く。

then○○=身に着けたい新しい習慣を書く。

この意識をすると、身に着けたい習慣が身に付きやすいと科学的に証明されている。

(出所:やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~

if~then ルールを応用するならば、

具体例として提示すると、

1、IF PC(スマホ)を起動したら、THEN まず最初にスタディサプリを開く

2、IF スタディサプリサイト内に流れる音楽を聞いたら、THEN 問題を解く

※スタディサプリのサイトにアクセスすると音楽が鳴り始めるのだが、この音楽を使って習慣化するのも一つの手である。(学習を始めるキーとして活用するということ。)

 

メディアでは一流な講師がそろっている部分を広告しているが、

じつはサイト内のしくみとしてもかなり良い習慣を見つけるためのキーがたくさんある。2018年度新たなる習慣を身に着けるために活用してみてはどうだろうか。

 

地頭力を鍛える~AMEXが年会費を1円にしたら儲かるか~

 
ビジネスケースのフェルミ推定を行っていきます。
前回行ったシカゴのピアノの調律師の人数を考えることよりも、
より専門的になってきます。
 
▼前回の記事
 
今回は自分が個人的に好きな問題です。
 
▼今回の問題
-------------------------------
AMEXはカード会社間の熾烈な競争にさらされています。
強豪のカードは年会費無料やマイレージサービスなどとの提携で攻勢をかけてきています。
AMEXは思い切って年会費を大幅に安くして、年会費1円にすることを考えています。
これは良いアイデアでしょうか??
下記の情報を参考にしてみてください。
ⅰ.AMEXの年会費は1万2,600円
ⅱ.クレジットカードブランドの世界シェア

f:id:i_am_janga:20171230211523p:plain

(あらためて見ると、世界の国際ブランドは圧倒的に稼いでいます。笑
AppleとVISAがバチバチやり合っているのも頷けます。)
-------------------------------
 
さて、みなさんをどこからアプローチをしていきますか。
この問題はビジネスケースの問題で過去に多くの戦略コンサルティング会社で出題されました。
決して難問ではありませんが、問われていることをよく考えないと的外れな回答になってしまいます。
さっそく、前提確認をしっかりしましょう。
 
①前提確認
 
問いの前提確認の以前のお話ですが、
面接などで聞かれた場合によく間違えて答えてしまうのが
「AMEXは高所得者層向けのブランドに特化すべき。マーケティングのキャンペーンを考えます。」
といった回答になります。
 
上記のような答えは完全に論点のすり替えですので、面接官のいっていることに対して的確に回答をしていかなければいけません。
面接で聞かれた場合には面接官の求めている答えはそういうことではありません。
 
・もし年会費を下げて会員がたくさん集まるのならやるべき
・年会費を下げた分の減益を回収できないのでやるべきではない
などの、やったほうが良いのか・悪いのかの2択で結論をだすことが大切です。
 
今回のやる・やらないの結論を出すために必要な要素として、
クレジットカード会社の収益(ビジネスモデル)を挙げることができます。
 
②アプローチ設定
 
クレジットカード会社の収益源は大きく分けて2つ挙げられます。
1つは年会費、もう1つは買い物の際の手数料になります。
(今回はリボの利用額は考慮に入れていません。)
 
式にするとこのような式になります。
 
カード会社の収益=[年会費+(会員1人あたりの年間利用額×加盟店手数料率)]×会員数
 
③モデル化
 
今回は参考としてあらかた数値を出しているので、年会費、利用額、会員数はの数値は揃っています。残りの加盟店手数料率をどう出すのかですが、感覚的にお店・お客さん・カード会社とプレイヤーがいて、消費税の5%が取られている現状ですので一旦消費税の半分以下の2.0%として考えていきましょう。(あんまり立ち止まらないほうがいいです。)
 
④計算実行
AMEXの売上を見積もって行きます。
カード会社の収益=
年会費+(会員1人あたりの年間利用額×加盟店手数料率)]×会員数
式であるように大きく分けて年会費収入と手数料収入を導き出していきます。
 
○年会費収入
データから発行枚数が1億1000万枚です。つまり、会員が1億1000万人いるとして、これに年会費を掛け算します。
1億1000万枚×1万2600円=1兆3860億円
これが年会費収入になります。
 
○カード手数料収入
次に手数料収入についてですが、頭出ししたデータでは年間110兆円となっており、さきほど加盟店手数料率を2.0%としました。よって、導き出される答えは下記になります。
110兆円×2.0%=2兆2000億円
 
AMEXの収益は年会費と手数料収入で合計3兆5860億円という答えが出せました。
 
⑤検証
最後に検証を行っていきます。今回行う検証としては、年会費を1円にして儲かるのか?儲からないのか?を検証していきます。
 
年会費と手数料収入で合計3兆5860億円という答えが出せましたが、割合でみると年会費の収入が39%と手数料の収入が61%となりました。
 
ですので、年会費を1円にすることで39%の収入が無くなることを意味しています。
そこで出てくる疑問が会員を増やして39%減った収入をカバーできるのかということです。
 
ここでまず年会費が下がったことで会員が増えると仮定します。
この増えた会員がカードを利用することで、どのくらいの収益が見込めるでしょうか?
 
現在、会員1億1000万人の会員で手数料収入を2兆2000億円上げています。年会費の収入のカバー分だけでも、単純計算で手数料だけで3兆6000億円ほどの売上が必要になります。
 
1億1000万人:2.2兆円=??万人:3.6兆円
 
これを計算すると答えが1億8000万人。
7000万人増です。つまり39%の会員数の増加を見込まなければいけません。これは現実的でしょうか?
 
現実性を判断するには2つの観点があります。
まず会員の獲得の観点ですが、そもそも年会費を1円にして会員が増加するという前提でしたが、本当に会員は増えるのでしょうか。競合他社のクレジットカードの年会費は0円のところが多いです。AMEXも横並びにしたところで急激に会員が増えるとは思えません。
 
もう一つは新しい会員が買い物に使う金額の問題です。参考データの取扱高を発行枚数で割ると1会員当たりの利用金額が算出できます。それを算出したのが以下の図です。

f:id:i_am_janga:20171230215336p:plain

AMEXの利用額年間100万円というのはダントツに高いといえます。高所得者層をターゲットにしているからこそこの数字を出せているのです。

年会費1円の魅力に惹かれてAMEXのカードを作る層というのは大衆層であると想定できます。

仮に大衆層がカードを作成し、VISAの33万円ほどの利用をした場合には話の前提が大きく崩れてしまいます。

年間100万円利用の想定で7000万人(39%増)の会員増が必要だったはずですが、これが年間33万円の会員しか獲得できないとすると、2億1000万人もの増加を必要になります。

この数字は会員数を3倍以上にしてくださいといっているということですので、短期間での達成は到底不可能です。

 

ここから導き出される回答としては、AMEXの年会費は1円にするべきではないということになります。

どうでしたか?フェルミ推定もビジネスに応用していけばどんどん面白くなっていきます。

 

地頭力を鍛える(フェルミ推定)

 

地頭力を鍛える一番良い方法はフェルミ推定であると言われています。

 

フェルミ推定フェルミすいてい、Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。オーダーエスティメーションや「封筒裏の計算(英語)」ともいわれる。』

 

フェルミ推定はコンサルの面接や外資の面接などで良く問われることがあります。

何故、面接で問われると思いますか?

それはフェルミ推定は暗記では対応できないと考えられており、答えのない問に対して仮説を立て論理的に考えることが求められる為、求職者のふるい落としを効率的に行えるからなのです。効率的にとはそれだけ明暗がわかれる問いであり、普段から頭を使っている人と使っていない人の差がとても明確になります。

そんなフェルミ推定ですが、今回は体系立てて少しでもフェルミ推定を理解し、知の世界に足を踏み入れてほしいと考え書いております。

 

(0)学ぶ前に知っておくと良いこと「ストック問題」と「フロー問題」

ストック、フローとは?

まず、フェルミ推定問題を大きく二分する「ストック」(stock)と「フロー」(flow)という用語について説明します

 辞書で「ストック」を調べると「ある一時点に存在する経済諸量の大きさを示す概念」、一方で「フロー」は「経済諸量が一定期間内に変化または生起した大きさを示す概念」という説明が出てきます。

よりかみ砕いて説明するならば、「ストック」とは「あるモノの一時点における存在量」のことであり、一方で「フロー」は「あるモノの一定期間における変化量」のことです。

たとえば、「ピアノ」を例に考えてみましょう 。

 

○ストックとフローの具体例

「シカゴにおけるピアノの数」と「シカゴにおけるピアノの市場規模(年間)」……果たしてどちらが「ストック」で、どちらが「フロー」でしょう

 

答えは、「シカゴにおけるピアノの数」が「ストック」であり、「シカゴにおけるピアノの市場規模(年間)」が「フロー」です。

市場規模(年間)は1年間のピアノのシカゴ内総販売額を集計したものですから、「1年間という一定期間で自動車がシカゴで売られた量(金額)」といえますね

 

たとえていうと、「ストック」は「容器の中の水の量」であり、「フロー」は「一定時間に蛇口から容器へ注がれる(容器から出ていく)水の量」です。後者の「フロー」は、「1分間に10リットル」のように、一定時間あたりの量を表しているという特徴があります。

 

(1)基本ステップの解説

フェルミ推定は、基本的に次の5つのステップで進めていきます。

①前提確認 ②アプローチ設定 ③モデル化 ④計算実行 ⑤検証

ここでは、一番有名で基本である「シカゴにピアノの調律師は何人いるのか。」という問題を例に、この5つのステップを順に説明していきます。

 

①前提確認

ここでは「ピアノ」の定義を明確にしていきます。今回で言うと調律できるピアノであり、電子的なピアノは含まれていません。※今回は家庭にあるピアノを算出していきます。

ⅰ.「ピアノ」をどのように定義をするか「定義」

ⅱ.どのような「ピアノ」を数えるのか「範囲の限定」

を明確にしていきます。

 

②アプローチ設定

ここでは基本的な式を設定します。いきなりシカゴのピアノの調律師の数を導き出すことはできません。

そこで中学校でならった因数分解をしていきます。

シカゴのピアノの調律師の数を出すためには、

ピアノ調律師の数=ピアノ調律需要÷調律師一人当たりの年間調律件数

を導き出すと答えにたどり着きます。

ここで前提となっている認識としては、需要=供給 ということです。

需要というのはピアノの調律師です。「シカゴでいったいどのくらいのピアノの調律需要があるのか?」という数字です。

供給量というのは、まさにピアノ調律師の数です。シカゴにはその地域のピアノ調律需要を満たすに十分な調律師がいるはずだと考えよということです。

 

③モデル化

ここでは②アプローチ設定で立てた基本式の深堀を行っていきます。

基本式をみていくと、『ピアノ調律需要』『調律師一人当たりの年間調律件数』という変数があります。

この2つの変数をさらに因数分解していくことを③モデル化で行っていきます。

②アプローチ設定と③モデル化の違いは前者は横のアプローチであり、後者は縦のアプローチとなっています。

ピアノ調律需要=シカゴ世帯数×ピアノ保有率×ピアノ調律の頻度

調律師一人当たりの年間調律件数=一日あたり調律件数×年間労働日数

因数分解をすることができます。

 

④計算実行

それでは③で求めたモデル式を計算していきます。

ピアノ調律需要=シカゴ世帯数×ピアノ保有率×ピアノ調律の頻度

 

▼世帯数の推定

シカゴ世帯数はどう求めるかというと、人口÷平均世帯人数です。

シカゴの人口はどうやって求めるの?そんなの知らないよ!と思われるかもしれないですが、ここで大切なことは推定のためにどういう推定式を使うか、という論理の方です。実際は③モデル化までは導き出せればほぼフェルミ推定は完了しています。

ここではざっくり東京の人口が1000万人だからそこまではいかないだろう。でも都市としては世界で10番目ぐらいには入っていそうだ。なので300万人ぐらいと予想しよう!

みたいな感じで最初の方は考えて問題ありません。フェルミ推定を嫌いになるぐらいならそれぐらいの気軽さで考えたほうが良いと思っています。

考え方というのは習慣にしないと確実に身に付きません。ですので、まずはやってみることが大切なのです。

次に平均の世帯数ですが、感覚的に母親、父親、子供が平均的な世帯であると仮定し、

3人とします。結果としてシカゴ世帯数は300万人÷3人=100万世帯と導ぎだせます。

▼ピアノ保有率の推定

シカゴ世帯数が100万世帯としたときに、ピアノを保有する可能性があるとする裕福なファミリー層は50%といると仮定し、そして実際に保有する世帯を10%で計算していきます。

100万世帯×50%×10%=5万台

シカゴの家庭で保有されているピアノの数は5万台という結論が出ました。

そしたピアノ調律頻度はざっくり年一回程度だろうと仮定します。

そうすると、

ピアノ調律需要

=シカゴ世帯数×ピアノ保有率×ピアノ調律の頻度

=100万世帯×5%×1回/年間

=5万件/年間

と導くことができます。

 

調律師一人当たりの年間調律件数=一日あたり調律件数×年間労働日数

一日あたり調律件数

こちらはピアノの調律は各家庭を回るわけですから、移動時間等のコストが入ります。

そう考えると、大体午前1回、午後2回程度の調律が想定できます。

ですので一日あたりの調律件数を3件と仮定します。

▼年間労働日数

こちらざっくり土日を休みにして大体200日ぐらいだろうと仮定します。

そうすると、

調律師一人当たりの年間調律件数

=一日あたり調律件数×年間労働日数

=3件×200日

=600件

と求めることができます。

 

そして最後に上記で求めた変数を代入すると、

ピアノ調律師の数=ピアノ調律需要÷調律師一人当たりの年間調律件数

=5万件/年÷600件/年

=約83人

と導くことができました。

ここで気を付けてほしいことは「単位を揃えるということ」です。

今回の問題で言えば「年間」で統一をしています。

 

⑤検証

 検証の方法として一番簡単なのが、

シカゴの人口で割ってみるということです。

300万人÷83人=36,000人

約36,000人に1人の割合でピアノ調律師が存在することになります。

30人に1人とかの割合で出してしまうと公務員ぐらいの数になってしまうので、

明らかにどこかの推論が間違っている可能性があります。

ですので今回の推論をおそらくこのぐらいの数であろうということが分かります。

 

すぐに読めるのでお勧めです↓

   

 

 

 

ジャンガおじさん統計学を学ぶ。その5(ビジネス応用編)

 

こんにちは、ジャンガおじさんです。

 

前回はかなりザクっと確率分布についてまとめていきましたので、

今回記事の中で出てきた分布について具体的に掘り下げていきます。

 

下記のケースを読んでみてください。

 

あなたWEBサービスの責任者です。

・あなたが働いている企業では3か月前に検索サービスをリリースしました。

・検索サービスは広告モデルで広告収入を得て成り立っています。

 

バックオフィスのエンジニアが駆け寄ってきてこんなことを言ってきました。

「新しいUIはサーバーへの負荷が高いので1分間に同時に980人検索サイトに訪れるとかなり読み込みが遅くなり重たくなってしまいます。1000人を超えるとアウトです。。。。」

 

下のデータは12月5日の1分間ごとの来訪者数です。

この時の検索サービスの1分間の平均来訪者数を940人だとします。

時間 来訪者
0 0 776
0 1 886
0 2 989
0 3 835
0 4 760
0 5 875
0 6 769
0 7 865
0 8 962
0 9 827
0 10 813
0 11 916
0 12 944
0 13 967
0 14 878
0 15 885

さて、1001人以上の人が同時に検索サービスに来訪する確率はどの程度でしょうか???

 

ある程度イメージはできているでしょうか。

統計学を用いると将来をある程度予測することができるので、

不確実性が高いビジネス世界においてとても重宝される学問であり、

ビジネスとはとても相性が良いのです。

では、具体的に考えていきましょう。 

 

まずやることは

1、まずサンプルデータの形を確認する

ヒストグラムを作ると、1001人以上の同時にサイトに訪れてはいないことがわかります。

では、1001人以上の同時来訪はない=確率0%なのでしょうか??

 いいえ、違うのです。

サンプルデータから直接確率を算出するのは問題があるのです。
・観測していないものは確率が0になってしまう。
・もし観測したデータがあってもサンプル数が少なければ、極端な確率が出てしまう。
統計学」を使うことで
観測していなくても(近似的に)確率を
出すことができます。
あなたが知りたいのは未来永劫の確率です。

 

サンプルから母集団を推測するには?
・サンプルの世界≠母集団の世界
・サンプルから母集団を推測するにはどうしたらよいか?
 
~母集団を推測するからくり~
統計学には母集団の「分布の型」が用意されており、母集団はその分布に従っていると仮定するとします。
 
 
~母集団はXX分布に従うと仮定しよう!~
・分布の型は「パラメータ」で分布の形が変わります。
・サンプルから母集団に仮定した「分布の型」のパラメータを推定=形を推測する。
 
「パラメーターを推定すると分布の形が決まる。」
これはめちゃくちゃ大切ですので覚えておいてください。
 
復習をしていきましょう!
 
★サンプルから推定するのはパラメーター
・「分布の型」は理論分布と呼ばれる
・理論分布の形はパラメーターと呼ばれる
いくつかの数値できめられる
ここでのゴール
・母集団に理論分布を仮定し、
・サンプルから理論分布のパラメーター全てを推測すること
・これができれば、母集団の分布が推測できる
 
 
先ほどのケースに当てはめてみましょう!
一分間の同時来訪者数を表現する理論分布はポアソン分布で推測することができるのです。
 
ポアソン分布について思い出してみましょう。 
ポアソン分布とは
・一定期間/空間内で
・あるイベントが起こる回数
を表現するための理論分布=ポアソン分布
▼過去記事
 
ポアソン分布が当てはまる具体例は下記の通りです。
・ある交差点で1時間に起こる事故の件数
・1ページの文章で誤字がある個数
・1時間に来店する客の数
 
ポアソン分布は
・一定期間(もしくは一定空間)で
・ある事象が平均??回発生する
と表現できる分布です。
 
平均??回=これがポアソン分布のパラメーターになります。
 
パラメーターを変化させると分布の形が変わるというの
下記のグラフをみると一目瞭然です。
 Plot of the Poisson PMF

上記ポアソン分布(理論分布)です。

下記がポアソン分布の確率質量変数です。(再訂)
{\frac  {\lambda ^{k}}{k!}}\cdot e^{{-\lambda }}

λ(ラムダ)というのは平均を表しています。

ポアソン分布で言うパラメーターとは平均のことであり、

つまり平均が分かれば分布の形を特定することができるのです。

では平均はどこから持ってくればよいのでしょうか?

 

それは、、、

サンプルからパラメーターを推定できるのです!
 
母集団がポアソン分布だと仮定すると、
サンプルの平均=母集団の平均の推定値
として、おかしくないことが理論的にわかっています!
 
今回の例で言えば、
サンプルの平均は940人だった!
母集団の平均もだいたい940人になる
ということになります。
 
よって、観測していないデータの確率を計算できるのです。
 
下記がポアソン分布の確率質量変数です。(再訂)
{\frac  {\lambda ^{k}}{k!}}\cdot e^{{-\lambda }}
そして具体的に値を入れていきます。
イベント数(=k)  0人から1000人までが起動するので 1000
平均(=λ) 検索サイトを1分間に訪れる平均人数 940

 

エクセルで解き方を考えてみましょう。

 

今回の場合は、

1分間で1001回以上の来訪が発生する確率ですので、

1- (1分間で1000回以下来訪する確率)

になります。

 

ポアソン分布のエクセル関数は、

POISSON.DIST(イベント数,平均,関数形式)

 

ですので、エクセルの式はこうなります。

=1-POISSON.DIST(1000,940,TRUE)

=2.51%

 

よって、1001人以上の人が同時に検索サービスに来訪する確率は2.51%

 

この2.51%を許容するのか、しないのかはビジネスジャッジになります。

ただ、サーバーおちるのかなーおちないのかなーでも危なそうだようなー

みたいな感覚的に仕事を行うよりも、2.51%という数字を用いて議論するのとでは

全然違います。より経営判断がしやすくなり、データドリブンで仕事ができるようになるのです。