【書評】これからの世界をつくる仲間たちへ

 

落合陽一先生の「これからの世界をつくる仲間たちへ」を読了しました。この本を読むべき層は現在の日本でホワイトカラーとして安定をしているつもりの方々である。今後、情報技術が益々進化していく中で筆者はホワイトカラーなる人種はいなくなり、クリエイティブ・クラスという新たな階級ができると予想している。よくアメリカなどではほとんどの富が一部の資本家によって占められていることが問題になっているが、これの労働者バージョンと言ってもいいと思う。ここでの本質を筆者は下記のように述べている。

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IT化で資本主義のあり方は激変しましたが、そのいちばん根底にある原理は変わっていません。 それは、「誰も持っていないリソースを独占できる者が勝つ」という原理です。 だから株式を握っている資本家は大金持ちになれるし、アラブの石油王も大金持ちになれる。スポーツや芸能の才能も、そういうリソースのひとつでしょう。誰にも真似のできない技術や表現力を持っている人は、それぞれの分野で大成功し・・・

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このIT化による次の変革は、今日本で目に見えないカースト制度(ホワイトカラー、ブルーカラー)をぶっ壊し、あらたな上位概念であるクリエイティブクラスの登場させる。そしてクリエイティブクラスの条件としては下記のような性質を備えた人物であると記載している。

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重要なのは、「言語化する能力」「論理力」「思考体力」「世界 70 億人を相手にすると」「経済感覚」「世界は人間が回しているという意識」、そして「専門性」です。これらの武器を身につければ、「自分」という個人に価値が生まれるので、どこでも活躍の場を見つけることができ・・・何より「専門性」は重要です。小さなことでもいいから、「自分にしかできないこと」は、その人材を欲するに十分な理由だからです。専門性を高めていけば、「魔法を使う側」になることができるはずです。

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この本では「専門性」という言葉が一つのキーワードになっている。専門性を高めていけば、「魔法を使う側」になることができるはずという記載があるがこの魔法を自分なりの言葉で訳すとブラックボックス化された処理のことを指している。ブラックボックス化された処理というのは具体的にいうと、今手元にあるスマートフォンが一番身近なものではないだろうか。一つのアプリを起動させて使用するたびに「お、裏側の○○の処理が走って、ここで○○API見にいってる」みたいなことを考えながらスマホを使用している人はなかなかいないと思う。人々にとってブラックボックス化された処理を理解することは目的ではなく、単にツールとして何も意識せずに欲求を満たしたいだけなのだから。このブラックボックス化された処理を理解することが「専門性」を身に着けるという理解を自分はしていて、このブラックボックス化された処理というのは一部の人だけにしか共有されていない暗黙知であることから益々、「専門性」を持っている人と持っていない人との格差が広がってくるのである。

 

しかし、専門性を身に着けろと言われても途方に暮れてしまう人がいるかもしれません。(自分もその一人です。)そのような人たちに筆者は下記のようなアドバイスを送っています。

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大人から「好きなことを見つけろ」「やりたいことを探せ」と言われると、「僕は何が好きなんだろう」と自分の内面に目を向ける人が多いでしょう。そこからいわゆる「自分探しの旅」みたいなものが始まるわけですが、これは袋小路に行き当たってしまうことが少なくありません。  しかし「自分が解決したいと思う小さな問題を探せ」と言われたら、どうでしょう。意識は外の世界に向かうはずです。そうやって探したときに、なぜか自分には気になって仕方がない問題があれば、それが「好きなこと」「やりたいこと」ではないでしょうか。

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個人的な話なのですが、まさに自分は自分の内面と向き合って現在袋小路のような状態に陥っているのですが、そこで外に目をむけて「自分が解決したいと思う小さな問題を探せ」と筆者は言っています。この専門性を高めるためにどこをターゲットにするのかという問題は今まで何も考えてこなかったサラリーマンにとってはとても悩む問題になるのではないでしょうか。

 

PS.

先ほど薬局で化粧水を買おうとしたのですが、まさに化粧水ってブラックボックスだなと感じました。これまで自分の肌に付けていた液体について何も知らずにバシャバシャ付けていました(笑)今回のブラックボックス化された処理=魔法とは意味合いは違うかもしれませんが、自分のように何も考えずに消費を行っている人って結構いるんじゃないかなーと思っています。少し反省して自分の使用するものについては考えていくことから始めようと思いました。